2012年1月26日木曜日

インドシリーズvol.3

11日の深夜、僕らを乗せたバスはジャイプールに到着した。観光で成り立っているような田舎町を想像していたが、こんな時間に活気があるほど人の通りも多い所で驚いた。

バスを降りた獲物に群がっている客引きに悪態つきながらも、とりあえず駅に向かった。目をつけていた駅の向かいの所にある安宿は「満室」と断られ、その近くにあったゲストハウスでは部屋を見せてもらいお金を払おうって段になって「ここはインド人の宿だ。You don't belong here.」とか言われた。なら最初から断れよ。

仕方なく夜中の街はずれを徘徊。ちょっと怖い。ワルそうな奴より野犬が怖い。しばらく歩き回るとRs250(ダブルルームの値段ね。)の宿を見つけた。「クソみたいな安宿を使って旅する」をそれとなく暗黙の前提に旅していた僕らにとって、Rs250はやや高かったが、時間も時間ということでそこにチェックインした。

デリーからのバスは途中休憩がほとんど無かったので夕飯がまだだった僕らは、荷物を宿に置き食堂を探し歩いた。途中何度も派手な光るヤツを持った謎の衣装を来た住民達がにぎやかに花火をしながら歩いているのを見た。人がやけに多いなとは思ったが、祭りか何かなのかもしれない。

駅へ戻る道の途中で食堂を見つけた。ちょうど店を閉めようとしていたが快く僕らを入れてくれた。中にはインド人おっさんがいっぱい。1人英語話せる人がいて通訳してもらってたんだけど、義弟の結婚式があるらしい。前夜祭?みたいなノリだった。気つかって早く店出たほうがいいかな、なんて思ったけど、おっさんたちマジでイイ人で、ウィスキーやらビールやら奢ってくれて、ずっと話してた。


このとき飲んだウィスキーコーラはほんと美味しかったなあ。
おっさんらと記念写真。
この真ん中のおっちゃんが英語上手だった。「お前英語上手いな!」ってほめられた。
おれの英語はインド人のお墨付きだぜっ
めちゃくちゃ近いよなw
話は変わるけど、インドきてから「ゲイ」っぽい人が多いなーなんて思ってた。おっさんとかが手つなぎながら公園歩いてる姿なんかは、別に同性愛者批判とかではなく、なかなかアレだなあ、と。

実際、ここの食堂のおっさんらも距離がすげー近かったから僕は勝手にゲイ容疑をかけてた(最後の写真とか近いだろ!)。後から聞いた話だけど、インドでは普通に男同士でも手つないだりするらしい。割と他人と距離を保とうとする日本文化とは異文化。こういう自分の常識の壁を壊せるのは旅の魅力だと思う。












7/12 

朝8時から行動開始。宿をチェックアウトし駅へ向かう。昨晩から雨が降り続いたようで、道が泥やらウンコやらでぬかるんでてひどい。39マートで買った黄色のクロックスもどきが茶色に染まる。

駅で荷物預かり所を見つけてバックパックを預けた後、バスセンターへ向かう。そこで次の目的地アグラーへのバスチケットを購入。夜の11時半発。

朝食がまだだったので、バスセンター前に何件か並んでいる食堂のひとつに入った。ここの店員さんもイイ人たちだった。英語あまり話せなかったから、コミュニケーションはほとんどノリ。ほんとにノリが良い。
プリセット。プリ(揚げたナン)とチャナマサラ(ひよこ豆のカレー)と生タマネギ。
ノリのいいおっさんはシャツが第三ボタンまで開いてた。
店員さんたち。

朝食後、リキシャに乗り込み、お約束の値段交渉(おっさんたちから相場を聞いたから難航せず)。そして小雨降る中、ジャイプール一番の目玉観光地「アルベール城」へ向かった。

ジャイプール旧市街からリキシャに乗ること20分、山道を抜けたそこに、アルベール城はそびえ立っていた。

写真じゃアルベール城のスゴさが伝わらないのがもどかしい。

「えっ?!えっ?!」僕は思わず息を飲んだ。正直なところアルベール城にはこれっぽちも期待してなかったし、それが何かも知らなかった。ぶっちゃけ、ささっと観光して帰るくらいのつもりでいた。

だが、僕が間違っていた。デリーの観光代理店オヤジが正しかった。

山の中にひっそりたたずむその巨大な城は、周囲の山の峰を万里の長城を彷彿させるような壁で覆い、霧雨の中からその姿を静かに現した。ただただ、美しかった。

「期待と感動は反比例する」とよく言うが、その分を差し引いても、僕は今までこんな衝撃的な遺跡を目にしたことがなかった。

すっかり興奮しきった僕らは早速その城に向かって歩き始めた。途中、象使いがいたので、大介たっての希望で象に乗った。
象の毛ってすごいカタくて刺さると痛い。
雨はさほど気にならなかったが、荷物が濡れるのは嫌だったので、城下町の売店で雨合羽を買った。Rs450でぼったくってこようとしたからRs100まで無理矢理まけさせた。だんだん値段交渉のコツが掴めてきた。笑

そしてついに入城。山の上に建っているので、思ったより坂道が覆い。雨合羽、風通しが悪くてただでさえ蒸してるのに暑い。

階段。
こんなスロープで登ってく。



フォー!

庭園のようなところに出た。
城に近づくにつれて、それが見かけ倒しじゃないことがわかった。内部の装飾や作りもスゴい。凝っていて、贅沢の限りを尽くした感じ。こんな巨大なものを電気も車もない時代に山奥に作ったなんて俄には信じ難い。マハラジャ調子こきすぎ。


城からの風景。正面の山を這っているのが例の万里の長城的なアレ。これが四方八方の山を覆ってる。


壁に装飾されているレリーフひとつひとつにもこだわりが。

城の中は大小様々な通路がさながら迷路のように縦横無尽に走っており、まさに「迷宮」の様相を呈していた。ほんとに迷った数回。インディージョーンズ大好きな僕は終止感動しっぱなし。映画のセットにでも来たかのようだった。

屋上への階段を見つけ出てみると、猿がいっぱいいた。
地下の監獄のような空間にはコウモリがいっぱい。
僕ら以外にも観光客は多くいて、インド人観光者も多かった。日本人にも会った。欧米人ツアー団体を見かけたので、こっそり後ろからくっついて行ってガイドの話をタダ聞き。こういうときに英語が多少わかってよかったって思う。


欧米人グループにくっついて寺院にきた。

その後、城の裏側の城下町に下りて散策してみた。時折見かける土産売りが日本語で「生麦生米生卵」やら「カトちゃんペっ」を連呼していて笑った。誰が教えたんだろw ちなみに早くも雨合羽のボタンが壊れた。

牛がいた〜。

裏路地。冒険心をくすぐる。
城からの風景。物乞いの子供も多かった。

一通り城の内外を散策して冒険心を満たした僕らだったが、アルベール城に到着してから「絶対にこれだけはやってから帰ろう」という目標があった。それはあの山を這う「万里の長城に登ること」だった。ちょうど城と城下町をくるっと取り囲むようになっているので、おそらく一周できるのだろうけど、距離が距離だけにそれは諦め、一番高い山のそれに登ろうと考えていた。

空模様が少しずつ怪しくなってきていたので早速作戦決行に移ろうとしたとき、銃を持った警察が近づいてきて警告された。「登るな」と。

もし無理矢理登って銃で後ろから登ってるとこ狙い撃ちとかされたら笑えないから、さすがに諦めた......













































わけないじゃん!!ここまで来て登らない方がバカだろ!

場所を変えてこっそり登ってやったぜ!壁だと思ったそれは階段になっていて、段差がかなり急+雨で滑る+修理中なのか途中全く足場がない っていうリアルに落ちたら死ぬなみたいな感じで、高さもけっこうあって登るのは相当しんどかった。非運動部の僕は特に。

ときどき休憩しながら慎重に。
驚くほどの足場の悪さ。こりゃ警察も止めるわ。
こそこそ登る大介。
下を見るとかなり絶景。
足滑らしたらマジで死んでた。


そうして一番高い山に登頂。達成感。写真だと分かりにくいけど、このとき見た景色は本当に圧巻だった。ふもとに広がる城下町の建物は水色のものが多くて、霧がかったその風景はすごく柔らかく、優しかった。息を弾ませながら僕らはこの景色に魅入った。目蓋にこの感動を焼き付けようと必死だった。僕はこの日見た風景を一生忘れないだろう。




十分にその景色を堪能した後、再び来た道を戻った。下りの方が怖かった。滑る階段。サンダルで来るんじゃなかったと後悔した。

階段も一段が大きかった。

 下山後、ふもとの屋台で甘ーいチャイを飲んだ。生還祝い。チャイ屋のおっちゃんたちに「お前ら登ってただろ!見えたぜ!」って言われて一緒に笑った。このノリだよ、ほんと。
 このとき飲んだチャイは今までの人生で一番美味しかった。

おっさん。英語通じなくても下ねたは全国共通で通じた。

至福のだいすけ。
おもわずおかわりした。
チャイ屋のじいさん。ありがとう。
こうして僕らはアルベール城をあとにした。次にいつ来るかわからないが、この城が、この景色が、この地が、ずっと変わらない場所であって欲しいと願うのはいささか傲慢だろうか。

もしインドに行かれるようなら是非足を運んでみて欲しい。感動すること請け合い、とまでは言わないが、僕の中でインド暫定遺跡ランキング1位の場所だ。





その後、リキシャで来た道を途中まで戻り市街へ。ジャイプールは旧市街と新市街に別れており、風の宮殿などの観光地は新市街に多いのだが、食堂が全く見当たらなかった。地元の人はどこで飯食ってるんだろう?

仕方ないのかもしれないが、アルベール城を見たあとの観光地はどれもしょぼく見えてしまって、僕らは街を探索して夜行バスまで時間をつぶした。

コブラ使いがいた。

ぴーひゃらぴーひゃらやってた。

昔の天文学のなんとか、みたいな観光地。一応行った。

路上で売られてたこの芋虫みたいな揚げ物が美味しかった。

 結局夕方頃にはバス停のところに戻り、今朝と同じ店で夕飯。ライムがきいていて美味い。ズボンがやぶれてることに気付き、裁縫セットを探し回ったが何処にも売ってなくて、仕立て屋さんみたいな所で針と糸をゆずってもらった。

駅で荷物を受け取った後、僕らはバスセンターへ移動した。バスの時間までそこで本でも読もうという算段であった。

しかし、このとき僕はまだ、この地獄の夜の幕開けに気づく由も無かった・・・。



次章 地獄の夜を超えて・・・アグラー編 につづく。


















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